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コラム・弁護士

 
   

家族の形

後藤 富士子

2025年11月

弁護士 ・ 後藤 富士子

1.結婚によって氏の変更が強制される

「家族」というとき、どんな形(構成員)を想定しますか?

戦前は「イエ制度」でしたが、戦後は「イエ制度」は廃止され、戸籍制度も「核家族」単位で編製されるようになりました(戸籍法17条「三代戸籍禁止」の原則)。ごく一般的なのは、夫婦のどちらかが戸籍筆頭者となり、その筆頭者の氏で統一される、夫婦と子どもが「一つの家族」になります(戸籍法6条「同氏同籍」の原則)。

でも、本人を中心に考えると、結婚(=法律婚)によって激変します。結婚する前は、それぞれの父母と兄弟姉妹で構成される、別個の核家族の「子ども」でした。結婚によって、親の戸籍から出て、夫婦で新たに戸籍を創ることになります。その際に、戸籍筆頭者がどちらになるのかが問題になります。民法750条が、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と定めているからです。つまり、どちらか一方が、旧姓を失うわけです。妻が夫の氏に改姓するのが9割というので、「ジェンダー問題」とされ、「選択的夫婦別姓」制度が議論されているのです。

でも、「結婚によって氏が変わらない制度」というなら、むしろ「夫婦別姓」を原則として、「夫婦同姓」を選択制にするのが素直です。というのは、「夫婦同姓」は、どちらかが氏を変更(喪失)するのですから、「法律による強制」ではなく、「自由な選択」にすれば、不満が残らないからです。そして、選択の時期も、柔軟でいい。たとえば、生まれたときの姓が嫌だという人は、結婚の最初から同姓を選択すればいい。結婚当初は別姓で当たり前だけれど、子どもが生まれた際に同姓を選択して、「夫婦親子」が統一した氏を称する。子どもたちが皆、独立して老夫婦だけになったら、「死ぬときには生まれた時の氏で死にたい」というので別姓にしてもいいのではないか。

ところで、別姓夫婦では、子をどちらの氏にするのかが大問題になります。実際、国会に上程されている「選択的夫婦別姓」法案では、生まれた時に夫婦で揉めて決まらないという事態を回避するために、子の氏は、「婚姻時に、戸籍筆頭者の氏」と定める婚姻届をするのです。これは、離婚時に単独親権者指定を巡って熾烈な裁判紛争が繰り広げられている現状を見れば、当然というべきでしょう。でも、これは、子ども時代の親の氏に拘って、親になって子どもと氏が異なることになるのですから、「家族の形」として満足できる、後悔しないと言えるのか、疑問です。だから、「選択的夫婦同姓」制度がいいと思うのです。

 

2.鶏が先か、卵が先か?

「家族の形」は、戸籍上でも随分多様になっています。

日本国籍を有さない「外国人」と結婚した場合、そもそも外国人には「戸籍」がないので、夫婦が同一戸籍になりようがありません。日本国籍を有する親と同一の氏を称する子は、同じ戸籍になります。

「事実婚」では婚姻届がされないので、夫婦親子という核家族であっても、戸籍上は同一戸籍になりません。夫婦は別姓、子どもは「非嫡出子」で、氏が同じ親の戸籍に入ります。

「事実婚」ではなく、完全に「未婚の母」の場合、母子で戸籍が作られます。

さらに、「匿名出産」では、新生児の単独戸籍が作られます。

こうしてみると、「家族」の起点が「結婚」ということは「当たり前」ではありません。「事実婚」「未婚の母」「匿名出産」は、「法律婚」制度を超えています。ドイツやフランスでは、第1子の過半数が婚外子です。国家の統制下にある「法律婚」に縛られることを是とせず、でも、未来を生きる子どもに命を繋ぎたいという「種の保存本能」みたいなものがあるのかもしれませんね。

 

3.「家族」は、国家のものではなく、「私的自治」が原則

「法律婚」は、均一の既製品でしょう。これに縛られないで、自分に合った「家族」を自由に作ればいいのです。まさに「1点もの」の手作りで。

でも、そういう「国家からの自由」を求める「個人の強さ」があるのか、が問題ですね。とはいえ、働けば働くほど損をするという「子育て罰」を課す日本の現状をリアルに認識すれば、国家に対し「モノ申す」個人を増やし、家族が豊かに生きる希望をもてる政策を実行する政府を創ればいいのではないかしら? いかがですか?

 

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