説得力のあるキャッチフレーズ |
清水 淳子 |
2023年12月 |
どうも!
洗面台の鏡を三面鏡にして髪をとかしていたら側頭部にハゲを見つけ、
「ゲッ、100円ハゲ!!!」
と衝撃を受けたら、実は白髪ばっかり生えてて白く見えていただけだった、と判明し、本来喜ぶべきところなのにどうもガッカリ感が否めないシミズです。
就職したころから白髪があったので、シミズの白髪歴は長い。20代で白髪がちらほらしていたころは「若白髪なのねー」なんて言われた。30代で前髪に白髪が集中して関口宏さんみたいになっていたときも「若白髪」と言われたもんだった。今は「若白髪」なんてまったく言われなくなったわけだけれど、いつを境に言われなくなったんだろう?何か重大な分岐点がそこにあった気がする。(いや、単に「若」くなくなったってだけだろう。)
白髪なんて見た目で如実に年齢を反映するものだけれど、中身もしっかり年を取っており、チカチカしている青信号めがけてダッシュ(←多分はた目には軽いジョギング程度)すると、ゼーゼー肩で息をする状態が駅まで続く。この手の話は、やれ「塩分を控えても血圧が下がらない」とか、「眼鏡をはずさないと小さな字が読めない」とか、「コレステロール値の標準がそもそもおかしい」とか、きりがないのでこの辺でやめておく。
今では髪を染めようが何も言われないけれど、会社員時代はほんのちょっと金色のメッシュを入れただけで「どうしたの?髪サビてるよ」とか「なんやお前、髪染めとんのか?」とか、「おはよう」より前に言われたもんだった。まるで、「スカート丈がひざ下10センチより長くなったら不良」という公式があったように、黒・茶色以外に髪を染めたら不良という公式があるみたいだ。そんな不文律を知らなかったシミズは「どうせ白髪なんだし、白も金色もさして違わんだろう」程度の認識で暴挙に出、「えへへ〜、そーなんっすよ、サビちゃって」などとナメた返事をしていたため、善良なおじさま方は「こいつに何を言ってもダメだ」とさじを投げていたと思われる。今更ながら、すんません! 芦ノ湖より深く 反省しております。
ちなみにこれがもし、何かの間違いで、シミズがCAをやっていたら、きっと出勤するなり先輩から鬼のように叱られて「黒く染めて出直していらっしゃい”ヾ(*`Д´*)ノ””彡☆”!」と追い返されたはずだ 。
心の広い人ばかりの職場でよかった。
会社によりけりかもしれないが、相対的に昔より髪型も髪色もバリエーションが豊富になっている。高校生以外で黒髪の女の子を見ることは少ないんじゃないか。栗色、茶色、亜麻色、ほぼ金髪から、青っぽい灰色、日に当たると緑や赤に見える茶色(タマムシか!?)、と「茶色」のバリエーションでも、実に様々な色合いの髪の子を見かける。
事務所のある新宿には、専門学校もあるせいか、若者たちもさらにはじけていて、ショッキングピンクとか、マリンブルーとか、エメラルドグリーンとか、どう頑張っても「茶色」のバリエーションではない、一回強力ワイドハイターですっかり脱色しないとこんな色にならないだろうなー、という目の覚めるような色合いが目白押しだ。初めて見たときはニンゲン界にアニメキャラが現れたみたいで、ものすごく衝撃を受けたものだったが、最近ではすっかり慣れてしまい、「お、きれいだな」くらいでスルーできるようになった。ただ、彼/彼女も本当はニンゲンなので、頭皮からは毎日黒髪が伸びてくるし、染色した毛髪もたぶん色落ちもしてくる。維持するのはかなりの根性が必要と思われる。がんばれ、若者!
その点、もとが黒くなければ「いっぺん脱色」の手間がかからない分気軽にチャレンジできるというもの。シミズも、もっと白っぽくなったら、緑とか青にしてみたいともくろんでいる。
ただ問題は、「アニメキャラを目指しているわけではない緑色のアタマのおばちゃん」の落としどころが分からないことだ。
アニメキャラを目指している「わけではない」の段階でもうチャレンジの資格を欠いている気もする。「あーいうのじゃないんだけど…」、そんな後ろ向きの姿勢でチャレンジしても、かっこ悪くなるに決まっている。チャレンジするなら、「○○を目指している」とか「○○を表現している」といったストレートで勢いのあるキャッチフレーズが必要だろう。
「ワタシ自身がモード(=`⌒´=)ノ」
とか
「エシカルでエコロジカルな未来とともに生きるワタシ」
とか、相手を説得できる言い訳(「言い訳」って言ってる時点でもう説得力がない)が何かないものか。
緑で好きなもの、みどり、ミドリ、…。
そういえば会社員時代は「園芸部」を自称しており、タキイ種苗やサカタのタネから届くカタログを見ては次のシーズンに何を育てるか考えて、いろんな花やハーブを育てたものだった。バラ、ニゲラ、ネモフィラ、キンギョソウ、ルリタマアザミ、スカビオサ、ラナンキュラス、マリーゴールド、ペチュニア、ガーデニア、ジャスミン、シクラメン、パンジー、ラベンダー、ラムズイヤー、ルッコラ、ローズマリー、バジル、タイム、セージ、ローリエ、いろんなミント、たぶんほかにもいろいろ手を出していたと思う。育てたいものを育てるだけなので統一感がなく、「いろんなものが生えている」だけだったが、それなりに草花がうっそうとする中で生活していた。
でもそれも30年も前の話で、今では部屋の片隅でポトスが枯れそうになりながら永らえている程度なので、「元園芸部」の方が経歴詐称と言っていいかもしれない。植物の緑はキャッチフレーズにならないか。
そうすると、緑でシミズが好きなものというと………………………………………
ケロロ軍曹…………………………!?
♪ケロ、ケロ、ケロ、いざすすめー
見ていない人にはサッパリだと思うが、極力努力をしないで地球制服をたくらむ様子にはヒジョーな親近感を覚えたもので、いまだに見るとうれしくなるキャラだ。
「ケロロ軍曹が大好きなのであります!」
結局アニメキャラじゃないか―――――――――――――_| ̄|○
申し訳ありません、「説得力のあるキャッチフレーズ」をひねり出そうとしたシミズが間違っておりました。
ちなみに巣鴨あたりで見かける「紫の頭のおばちゃん」もちょっとあこがれるけれど、あれは説得力のあるキャッチフレーズに加え酸いも甘いも噛み分けた人生経験がないと紫負けするので、もうちょっと先にとっておこうと思う。 |