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コラム・弁護士

 
   

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その2

鈴木 周

2017年3月

弁護士 ・ 鈴木 周

29日は朝7時30分に起床した。超重い布団が隙間をぴったりと塞いでくれ、ポカポカと快適であった。階下の食堂に下りていくと、既に私の分のおかずが並べられていた。「デカッ! 朝から豆腐一丁なんて無理無理」と思ったら、厚焼き卵であったのでホッとしたものの、よく考えたら大きさは同じなので全然解決になっていなかったのであった。そうしたら、奥から主人が「おはようございます」と言いながら、ご飯の入った電子ジャーを持ってきてくれた。ちょうど1人分のご飯を炊いておいてくれたようだ。おかずは、さっきの巨大卵と、レンコンのキンピラ、おしんこ、大量の舞茸が入ったお汁、あと村上らしく鮭の焼いたのと、おおっ! イクラの醤油漬けがこんなに沢山! こんなお高いものを…、と私は感動に打ち震えたのだった。  

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その2私は、馴れ馴れしいフレンドリー親父であるので、ご飯を食べながら主人の渡辺浩史さん(大変似てるが仮名。50絡み。)にお話を聞かせて貰った。すると、浩史さんは、この松屋の4代目で、お店は大正年間から続く老舗であり、上階には大宴会場もあって、以前は付近の冠婚葬祭を一手に担っていたということであった。立派なお部屋は宴会の宿泊客用だったのだろう。もっとも、現代になって寂れてしまったということはなく、この季節は鮭釣りのお客さんで土日は常に満室だそうだし、平日も浩史さんが考えた「村上牛すき煮飯(並1800円)」が大当たりで、仕込みのため昼過ぎまで休む間もないそうで、夜10時なんてもうヘトヘト、昨日は私のために必死に起きていたということであった。

だけど仕事はちゃんとしていて、ご飯もおかずも地味ながら大変美味しかった。特にイクラ(いわゆる「はらこ」)が、東京で食べるのは大粒でブチブチしたのが多いのだが、ここのは小粒でプチプチしており、塩加減もちょうどよく、「ああ、やはり地場のものは地場で食べないとダメなんだなあ。おいしいなあ。」と感心したのだった。浩史さんは城西大学の登山部の出身だそうで、「今でもOBとか学生が合宿で来るんですよ。」とのことだったので、「こんな美味しいもの出したら、登山部の学生なんて無限にメシ食うでしょ。」と聞いたら、「食います食います。」と大きな体で嬉しそうに笑っていた。

ご飯を三杯も食べてしまったので、しばらく部屋で「苦しい、動けない…」とウンウン言った後、意を決してガバと飛び起きて松屋を出、任売の行われる新潟懸信用組合に向かった。と言っても、松屋のすぐ裏なので、1分やそこらで着くのだった。お、「けんしん」の看板が見える。確かにこう呼ぶほかないがずいぶん強そうな名前だな。だけど村上城は上杉謙信を裏切って合戦になったんじゃなかったっけ。そう思いながら入り口まで行ったらまだ開いておらず、5分ほど付近をプラプラして、9時丁度に信組に入った。物件の買主は中国人の親子だったので、「なんと中国の不動産熱は村上まで及んでいたのか。」と驚いたが、そうではなくてお店をやりたいということで、とても実直な親子なのだった。手続は30分ほどで済み、売主から残債を受け取って、司法書士さんに抵当権抹消書類を渡し、これにてお役御免、アリガトサヨナラと信組をあとにして坂町駅に向かった。駅前のメインストリートは消雪パイプつきの10mの立派な道路で、割烹料理店が多く並んでいたが、まだ午前中なので、人も車も閑散としていた。電車は9時51分で、もうすぐであったので、改札を入って駅のホームで待った。すると駅の北側には何もなかった。普通、「何もない」というと、「気の利いたお店がない」とか「賑やかでない」という意味で使うが、本当に何もなく、ススキ野原が広がるばかりで、北風がピューピュー通るので、大変寒かった。

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その2時間通りに、なつかしい緑とオレンジの各駅停車がやってきて、目の前でとまり、プシューと音がしたので、「?」と思ったら、そうだった、北国の電車は自分でドアを開けるのであった。すっかり忘れてた。車内には2人しか乗客がおらず、私は4人かけのスペースの窓際に座って、車窓から景色を眺めていたのだが、出てすぐに荒川(多摩川くらい)の鉄橋にさしかかり、沢山の釣り人が鮭を釣っているのが見えた。あの中に松屋のお客さん2人が混じっているのだろう。がんばれがんばれ。基本的に車窓からの眺めは田園風景で、広大な田んぼの中に家々が何件か寄り添って点在している感じで、季節柄か白鳥の群れも見られた。が、白鳥は水に浮いていないと結構マヌケな感じで、最初ガチョウと区別がつかず、ちょっと笑ってしまった。

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その2駅を二つ過ぎ、少しマチマチした感じになってきたと思ったら、村上駅に到着した。駅には「ようこそ! 鮭・酒・人情(なさけ)の村上へ!」との巨大看板があり、「いきなりダジャレかいな…」と脱力した。駅構内で付近地図を確認したところ、南口のメインストリートをひたすらまっすぐ行き、突き当たりを左に曲がったところが法務合同庁舎で、徒歩30分程度のようであった。トトロみたいに歩くの大好きの私は、「散策しながら行くのに丁度いいな。」と思って、駅を出て歩き始めた。

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その2村上の町は、歴史のある地方都市らしく、メインストリートも広くて立派で、学校や病院なども多く、この付近の文化や経済の中心になっていると推察された。観光客も割と多いらしく、ハイカーの格好をしたお年寄りを乗せた「あべっ車」というコミュニティバスが走り回っていた。村上に「あべっしゃ」という方言があるのだろうか。これが北斗の拳なら「グワッ」とか「ギャーッ」というような意味だろうが、そんなはずはないので、多分「うきうきお出かけ」とかそんなような意味なのだろう。

それにしても歩いていて驚いたのが、駅前の学習塾の多さであった。本当に、川床のハゼみたいにそこら中にある印象で、「そもそもこのあたりにそんなに沢山子供がいるのか?」と思ったが、需要がなければ供給もないんだから、ちゃんと理由があるのだろう。付近が広大な田園地帯になっているため、学校が村上市街に集中せざるを得ず、学生が皆村上駅を利用して通学するからかも知れない。

この日の天気は、そんなに寒くはないが、いまにも降りだしそうな、どんよりした新潟らしい曇天であった。それにしてもあれだね、新潟美人とか秋田美人と言うけど、冬場半年お日様が当たらないのは大きいんじゃないのかね、関東なんて冬はカンカン照りだもんね、と思いながら歩いていたら、ちぇ、降ってきちゃった。だけど雪だ。やっぱり寒いんだなあ。

そうしているうちに、道中右手に村上牛の専門店を見つけた。食堂も併設されているようなので、「うん、これはいい。帰りに寄って村上牛食べよう。」と目星をつけ、雪の中急いで歩を進めたのだった。

つづく

 

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