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コラム・弁護士

 
   

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その3

鈴木 周

2017年4月

弁護士 ・ 鈴木 周

しばらく歩いていると、雪が止み、だんだん家々が少なくなり、目の前に小高い丘が見えてきた。てっぺんが平らなところを見ると、あれが村上城址なのだろう。帰りに登ってみようかなと思ったけれど、登っても何もないんじゃつまらないからやっぱりやめておいた。メインストリートが突き当たりで終わったので、今度は左に曲がって法務合同庁舎に向かった。お、これはさっき「けんしん」で会った司法書士さんの事務所だ、よし庁舎は近いぞ、と思っていたら、住宅街の中に突如として庁舎が現れたので驚いた。だけど、アレレ? 法務局と区検だけで簡裁がないぞ。普通、併設されてるんじゃないの、と思いつつ中に入っていったらやっぱり簡裁はなかった。

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その3

お弁当を届けに来た出入業者のオバちゃんに聞いたら、「簡裁はね、駅のほうに戻るのよ。5分くらいよ。」ということであった。 なんだ、通り過ぎてたのか、30分も歩いてバカみたい、と思いつつ駅方向に戻ると、確かに5分くらいでお役所然とした建物が見えてきた。ワー、ずいぶん大きいな、と思ったら、そっちは市役所で、そのお向かいに簡裁が建っていたのであった。簡裁は相当に古い2階建てで、まさに事前に予想していたとおりの佇まいであった。しかし敷地は結構広く、駐車場も完備していた。写メでパシャパシャ撮るだけでは、自分が全然入らないので、誰か通りかからないかなー、と思ったのだが、待てど暮らせど誰も通らないので、諦めて写真を撮って中に入った。

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その3

庁舎に入ってみると、すぐ右手に書記官室があり、その奥に調停の待合室などがあった。家裁の出張所も兼ねているので家事調停もするのだろう。いやしかしこれは相当古いというか、はっきり言うとボロ庁舎で、以前の八王子支部を髣髴とさせる私の大好きなタイプのお役所であった。築50年以上だろうか。絶対建替え話が進んでるんじゃないかと思われる。法廷は2階にあったが、どういうわけか階段の前に「立ち入り禁止」の看板が立てられていたので、丁度通りかかった書記官らしき人に、「本来法廷は公開ではないデスカ?」というようなことを聞いたら、「それじゃどうぞ。」と案内してくれた。法廷は2階に2つあり、一つは我々が普通に想像する簡裁の法廷で、もう一つはラウンドテーブルということであった。

開廷表が貼ってあったので見てみると、明後日の12月1日の民事の弁論の予定が貼ってあった。なんと未来から来た開廷表なのであった。書記官曰く「週1回、木曜日しか開廷していないので、予定が分かっていれば、このように事前に貼っておくのです。」ということであった。当然、開廷日以外は誰も法廷を使わないので立ち入り禁止にしているのだろう。開廷表では午後1時10分から弁論が5件入っており、いずれも被告は金融機関で、うち3件は同じ原告であった。クレサラ関係の事件が中心になっているようだ。驚いたことに、代理人は5件全て同じS氏であり、書記官に聞いたところ、「最近村上の駅前に事務所を作られた先生です。」ということであった。村上の民事刑事事件を殆どお一人でやっておられるんじゃないかと思われる。事件ごとに原被告席を行ったり来たりしているんだろうか。あと、国選や当番は本当に大変そうだなあ。ちなみに、「裁判所の周りには弁護士事務所は全くない。」とのことで、「裁判所に行けば周りに事務所あるだろうから、フラっと入って話を聞いてみよう。」という目論見は崩れ去ったのだった。

ありがとうございました、あとは自分で回ります、ということでお礼を言って1階に降り、調停関係の部屋を抜けると、珍しいことに一番奥に宿直室があった。八畳の畳の部屋が二間あり、隅っこに布団が積んであり、簡単な台所などもついていた。さすがに今はあまり使っていないと思うが、裁判官は毎週新発田支部から来ているそうだから、昔は朝イチの期日のとき前泊したり、雪で降り込められたときは泊まって帰ったりしたのだろうと思われる。そういうときは「あー、もー、やってらんねー」とか言って一人でラーメン食べてお酒飲んで寝るのだろうか。

これで庁舎内は大体見て回ったのだが、来た痕跡を何も残さないのもなんなので、トイレを借りて帰ろうと思い、個室に入ったところ、お、最新のウォシュレット完備、一点豪華主義か。松屋にはついてなかったからなあ。どれポチッ、あれ、ポチッ…壊れてやがる…。という、さえない思い出とともに村上簡裁を後にしたのだった。

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その3

帰りは、さっき目をつけておいた、農林水産大臣賞受賞、牛肉の「やま信」に寄ってみた。肉の販売スペースと食堂が半々になっているお店で、席についた私はまず生ビールを頼み、メニューの検討に入った。村上牛(A5)ステーキ御膳は、お、お高い!8500エーン! 何言ってんだ、格安なんだ、とお店の人は言うだろうが、さすがにこれはパスして、焼肉定食(1480円)を頼んだ。せっかく村上まで来てそれかよ、という声が聞こえてくるが、牛丼(1200円)と真剣に比較して高いほうを頼んだのだからご容赦されたい。

先にビールが出てきたのだが、この「風味爽快ニシテ」という新潟限定のサッポロビールの美味しいこと。名前のとおり飲んだとたんにパッと風味が広がるのだが、これが華やか過ぎず、すぐに後味スッキリの、奥ゆかしい逸品であった。ううむ、毎日飲みたいビール。プレモルが松坂慶子なら、こっちは竹下景子って感じ、女房にするなら絶対こっち、とか考えていたら、焼肉定食到着、もうビール飲んじゃったからお代わり下さい。

焼肉定食は、焼肉、野菜、ポテサラ、竹の子の煮たの、おしんこ、お汁、という構成であった。なんとなく、ジュージューいいながら名刺大のお肉が何枚か出てくるのを想像していたのだが、薄切り肉をタマネギと炒めたものであり、しゃぶしゃぶ肉3枚分くらいの分量であった。肝心のお味は、うん、さすが村上牛、確かに美味しい、ご飯も美味しい、竹の子も柔らかく煮含められていて美味しい、全部美味しいんだが…量が不満、量が不満、量が不満…。ま、でもこれだけ旨けりゃよし、村上牛の一端を垣間見た、と思うことにし、お店を出て駅に向かった。

途中で、「株式会社マルタマ」という会社があり、「カフェー丸玉事件(自然債務)と何か関係あるのデスカ?」等と聞きたくなったが、それじゃ単なる酔っ払いなので止め、駅周りでS氏の事務所を探してみたのだが酔っ払ってるせいか見つからなかったのでこれも止め、駅に隣接している民芸風の観光案内所でお土産を探した。

関弁連寄稿「関弁連最北端 幻の村上支部単独行!」 その3

中には、予想通り堆朱や地酒(〆張鶴が有名)が並んでおり、「どれ、この鮭の箸置きでも買うか」と思ったら、お、お高い!7020エーン! という、さっきと同じ展開。ホント? これ1個? と思ってよく見ても「5個セット」とか書いてないので、1個7020円なのだろう。村上まで行ってそれかよ、という声が再び聞こえてきそうだが、さすがにこれは迷いもせずに諦めて、村上茶(1150円)を買ったのだった。

レジのお姉さんに「そういえば、バスに書いてある『あべっ車』ってどういう意味なんですか」と聞いたところ、「このあたりの方言で、『いこうよ!』って意味です。」とのことであった。なるほど、いこうよ、ねえ…。しかし、見知らぬ人から、突如「アベッシャ!」とか言われたら、「この人は何か不満を表明している」とか「返答によっては攻撃される」とか、そっちのほうに考えちゃいそう。

駅につくと、ラッキーなことに、既に出たはずの特急「いなほ」が20分遅れており、駅員さんが「もうすぐですよ」というので、切符を購入して、急いでホームに出た。いなほの来る北方に目をやると、遠く山形方向に山々が連なり、冷たい風がホームを吹き渡っていた。すると、ずっと曇天だった南の雲間から急に日差しが差し込み、遠方では雨が降っているのだろう、山々の麓から麓まで丁度半周分の綺麗な虹がかかったのだった。まるで村上が「周さんに幸あれ」と祝福してくれているような神々しい風景が広がり、私は寒いのも忘れて一人ホームで見入ったのだった。

終わり

 

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