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コラム・弁護士

 
   

「夫婦別姓」は「事実婚」で

後藤 富士子

2018年6月

弁護士 ・ 後藤 富士子

1.新たな「夫婦別姓」訴訟

朝日新聞5月11日夕刊記事によれば、夫婦別姓を望む婚姻届の受理を拒まれた事実婚の男女7人が、国や自治体に損害賠償などを求めて、提訴したという。原告の一人(女性)は、選択的夫婦別姓制度導入に期待を膨らませたが、2001年、他に方法がないと事実婚を選んだ。その後、3人の子を出産したが、子を夫の姓にするため、出産のたびに婚姻届を出して「ペーパー離婚」する繰り返しで、自分だけ姓が違う。そして、「子どもが事故に遭って緊急手術が必要になったら、親権がない私の立会で病院は対応してくれるのか」と不安を抱えるという。しかし、この原告の想念は、〈法律婚優遇=事実婚差別〉にどっぷり浸かっているというほかない。

仮に婚姻届を出さないとしたら、現行法でどうなるか? 嫡出でない子は母の氏を称するが、家裁の許可を得て戸籍の届出をすることによって父の氏を称することができる(民法790条2項、791条1項)。父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り父が行うとされ、協議が調わない場合に家裁が協議に代わる審判をすることができる(同818条4項5項)。すなわち、特別なことをしなければ、子は母の姓を称し、単独親権者も母である。とはいえ、子の姓を父の姓とすることもできるし、単独親権者を父とすることもできるのである。

そうすると、この原告の場合、出産のたびに婚姻届を出したのは、「嫡出子」の身分を得るためにすぎないと思われる。そして、婚姻届は夫の氏とし、離婚後単独親権制にも疑問を持たないところを見ると、法律婚としての夫婦別姓に何ら先進的な意味を見出せない。「多様な家族の在り方」を標榜するなら、いちいち「法律婚」に閉じ込める方向で法改正をするのではなく、多様性を包摂する「事実婚」について、「法律婚」と比べて不合理な差別をしないことが重要であろう。この点では、「同性婚」が先行している。また、トランスジェンダーについても、マイルドになる。性同一性障害で性転換手術をするなど一定の要件を満たす場合に法律婚が認められ、妻が出産した子を嫡出子と認めることになったが、「法律婚」の枠に組み入れるのと引き換えに、「あるがまま」の人間存在に無理を強いることは避けられない。様々な人の在り方からすれば、婚姻や家族も多様になるのは当然であり、外縁が開かれている「事実婚」にこそ正当な法的保護が付与されるべきであろう。

2.戸籍制度の問題

戸籍法6条は、「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。ただし、日本人でない者と婚姻をした者又は配偶者がいない者について新たに戸籍を編製するときは、その者及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。」と定めている。すなわち、「同氏同戸籍」が原則であり、例外は外国人と結婚した場合である(同氏にはならない)。

戸籍制度は、夫婦親子の身分関係を公証するものであり、「戸籍の筆頭者」は検索方法として極めて便宜的要因である。戸籍筆頭者は夫でも妻でも構わないが、筆頭者の氏と本籍地により、他から区別される。外国人と結婚した場合、外国人配偶者は同氏ではないものの戸籍に記載され、戸籍の筆頭者は日本人配偶者であるから、検索上差支えはない。このような戸籍制度に照らすと、夫婦別姓は、検索機能を揺るがせる。しかも、全て夫婦別姓にするなら、「同氏同戸籍」を止めて「個(人)籍」とすればいいように思われるが、選択制となると中途半端で煩雑になる。

こうしてみると、夫婦別姓の問題は、婚姻の際に夫の氏か妻の氏かどちらか1つを定めなければならないとしている民法750条の問題というよりも、もっと本質的な問題は戸籍制度にあることが分かる。実際、民法は、「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。」(739条1項)としたうえで、「婚姻の届出は、その婚姻が第731条から第737条まで及び前条第2項の規定その他の法令の規定に反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。」(740条)としている。すなわち、法律婚を画する「婚姻届受理の要件」の一つをめぐる法改正を云々しているよりも、法律婚の外で事実婚による夫婦別姓を選択すれば簡単に実現できるのである。

3.新しい家族像・・・「夫婦」から「親子」へ

現行民法でも、「家族」の起源は「婚姻」であり、その後に「親子」が来る。しかし、ドイツやフランスでは、今や第1子の過半数が婚外子であるし、離婚〜再婚により父母が複数になる「ステップファミリー」も珍しくない。そして、婚姻を前提としない親子関係を望む「家族」も特別なものではなくなっている。すなわち、「家族」の起源が「親子」にシフトするようになったのであろう。

そうすると、未婚や離婚後の強制的単独親権制がこのまま維持されていいはずがない。それは、生まれる子どもにとっても、生み出す大人にとっても、「家族の起源」に否定的な打撃を与えるものでしかない。国家の管理する制度から自由になって、「家族」という「私的自治の世界」を享受できるように、「事実婚」に生きる人々の社会変革力を応援したい。

 

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