ちょっと前のことになるが、
はやぶさが持ち帰ったリュウグウの石からアミノ酸が見つかった
大騒ぎになった。
ウミガメが持ち帰ったリュウグウの玉手箱から酸化(老化)促進物質が見つかった
の方がはるかにイメージしやすいのだが、
文句を言っても始まらない。はるばる宇宙の旅から帰ってきたはやぶさに申し訳ないので、素直に喜ぼう。
この発見から、「地球の生命のモトになったアミノ酸は宇宙から飛んできた」説が有力になったのだそうだ。
なんかズルしてる感が漂って、個人的にはすこぶる不満である。
説明がつかないと宇宙人のせいにする安直なオカルトマニアみたいじゃないか。
ピラミッドを建てたのも、ナスカの地上絵を描いたのも、モアイ像の石を運んだのも、みんな宇宙人の仕業、と言っているのと同じじゃん!?
本当はオカルトマニアと全然違うのだろうし、海のおおもとは氷の隕石らしいから、アミノ酸の隕石があってもいいけど、これだけ生命が繁栄しているモトは、がんばって地道に海の底とかで生まれてほしかった。
ところで最近ようやくシミズが認識したトレンドに、「推し」がある。
夢中になれるものを「推し」と呼んで、堂々と「好き♪」アピールすると、生活にハリを与えるだけでなく、ドーパミンやセロトニンの分泌で幸福感が増し、健康増進に資する、といいことづくめらしい。
ちょっと待て。あたかも新しい流行りもののように言っているが、今に始まったことなのか?
シミズが子どもの頃はキャンディーズやピンクレディー、中三トリオに新御三家が子ども世界を席巻していて、誰かのファンじゃなかったらアンタは人間じゃないよ、くらいに「誰かのファンである」ことは普通のことだった。シミズも雑誌からキャンディーズの写真を切り取って、下敷きに入れて授業の合間に見てはほくそ笑んでいた。あれは紛れもなく「推し」というヤツだろう。
そう、脈々と「推し」は存在したはずなのだ。
「すごくファン」が「オタク」とさげすまれるようになったせいで、別の呼び名が必要になったのか。まぁ、なんにせよ、好きなものを好きと言って幸せになるのはいいことだ。
さて、キャンディーズを卒業して大人になったシミズの「推し」は、「戦国もの」だ。戦国武将やその家来ががんばっているさまが好きで、とりわけ「毘沙門天の生まれ変わり」上杉謙信さまがシミズのイチ押しだ。たった16人(18人とも)で難攻不落の稲葉山城を落とした竹中半兵衛さんとか四国を統べていた長曾我部元親さん(ちょうそかべもとちか、と読む)なんかも結構好きで、徳島地裁に行った帰りに空港で「一芸に熟達せよ」(元親の名言、と言われている)と書かれた扇子を見つけたときには、「もとちか―っ♪」とこっそり叫んで喜んでお土産に買って帰った。
あ、ちなみにシミズは「歴女」ではない。
(誰だっ!?「歴婆」とか言ったヤツは((= ̄^ ̄=)!?)
それが証拠に2022年のセンター試験「日本史B」を試しに解いてみたところ、100点満点中55点だった。
シミズは私大受験組で、「世界史」選択、日本史は勉強しなかったことを思えば、威張れた点数ではないが、まーまずまずと言える。
とはいえ、
「がんばったけど20点でしたー。てへへ(;^□^)」
と書きたくて(動機が不純)小一時間も机にしがみついて取り組んだのに、どよめくほど良くもなく、「バカだ〜」と高笑いするほど悪くもなく、コラムの材料としては中途半端この上ない。まさに想定外、私の1時間を返せーっ(#`皿´)と言いたい。
なお初めて解いたセンター試験は、「武家の出身で、本名を○△×★と言った…」みたいなミョーな切り口の問題のオンパレードで、「そんなヤツ知らんがな」「聞いたこともないわ!」とブツブツ言いながら解いたので、なぜ5割も取れたのか本当にナゾである。
そしてときは下り令和4年6月現在、シミズの「推し」は
「パンゲア」
である!
戦国時代からざっと2億5000万年ほどさかのぼった計算になる。
「パンゲア」
パンナコッタ味のジェラートみたいでちょっとくどいけどおいしそうでしょ?
何だかわからないでしょ?(分かる人はもう読まないでください。)
2億5000万年前なので、「パンゲア」は当然ヒトではない。恐竜みたいな動物でもない。
知っている人にはナンでもないが、「大陸」の名前だ。
「超大陸」と呼ばれる大きな大陸で、このころ地球の大陸はこれ1個だったそうだ。
2億5000年前にできて、2億年前に分裂したといわれているが、陸地が「集まったり」「別れたり」の話しなので、パッキリ正確な年代が区別できるわけではなく、「おおよそこの頃」というわけ。なんだか警察や検察の調書みたいだ。
「令和4年6月10日午後5時35分ころ」
5時35分でええやんか。
「東京都中央区日本橋蛎殻町3丁目12番地5号先の道路付近にて」
“付近”とつけるのはなぜ!?
「東京都港区白金1丁目10番3号在住の指定暴力団3年B組構成員の甲野太郎(55歳)外(ほか)1名が」
“外1名”って誰だ!?甲野太郎を住所までさらすんならもう一人もさらせよ!
「たい焼きを買って食べた。」
起訴すんなや☆ヾ(`Д´*)
脱線した。
「ころ」の使い方はシミズのように心の狭い人間を相手に無用の軋轢を生む可能性があるので気を付けよう。
そんなわけで、パンゲア大陸があったころは全世界が陸続きで、がんばればどこでも歩いて行けたわけだ。まさに「世界はひとつ、人類はみな兄弟」(ヒトはまだいなかったけど)という世界だったと思うと、何やらうれしくなってくる。
ちなみに形は ≪お腹が痛くなったダルマ≫ みたいな形だ。大雑把に言うと「く」の字型で、「く」の字の内側だったテチス海という海がだんだん広がって、北のローラシア大陸と南のゴンドワナ大陸に大まかに分かれ、さらに分裂が進んでいったんだな。
南のゴンドワナ大陸はホロホロと割れて、南アメリカ大陸、アフリカ大陸、アラビア大陸、南極大陸、インド大陸、オーストラリア大陸に分かれて行った。北のローラシア大陸は、ざっくり北アメリカ大陸とユーラシア大陸に分かれた。
旧約聖書の最初の5ページみたいですか?
読みたくなくなってきたアナタ!無理して続きを読むことはありません。
アフリカ大陸とオーストラリア大陸の間にあったゴンドワナ出身インド太郎は、なぜか南半球に落ち着かず、年に18センチというものすごいスピードで北上し、のんびりしていたユーラシア大陸に向かって突進した。1億2000万年前から5000万年前のことだ。ユーラシア大陸にしてみれば、超高速で突っ込んでくるインド太郎はチョー怖かったに違いない。
「ちょ、待てよ!」(はい、キムタクさん風に読んでください。)
とドギマギしているうちに、ブレーキをかけることなく衝突され、さらにそこで止まればいいが、なおも進んできて地殻の下に潜り込まれた日には、
「ぎゃー、やめてくれーっ」
とのたうち回ったに違いない。
そうしてのたうち回った痕跡が世界の屋根、ヒマラヤというわけだ。
ロマンだー…。(* ̄ ̄ ̄ ̄― ̄ ̄ ̄ ̄)
ユーラシア大陸をのたうち回らせたインド太郎は、今でも年6センチずつ北上しているそうだから、ヒマラヤはそのうち高さ1万メートルを超えるかもしれない。
コイツは何を言ってるんだ!?
と、さじを投げたくなった人は、1分だけバカにつきあうつもりで「パンゲア→今の大陸」になる様子を見てほしい。
海洋研究開発機構 通称JAMSTECの研究員さんが、パンゲアが分裂する様子をシミュレーションして動画にしてくれている。(マントル対流の数値シミュレーションによって再現された2億年前から現在までの大陸移動)
計算で導かれた大陸移動の様子なので、完成図は若干今の世界地図とずれるのだけれど、計算で導き出された地形がこんなに一致するんだー!? というくらい今の地図に近い配置になっている。地球内部のコールドプルーム(マントルの中の温度の低い部分が沈んでいくこと)も含めて大陸がどんな風に動いたのかホンの40秒にまとめられていて、あっという間に2億年を体験できる。
「カメルーンから歩いてブラジル」「ニューヨークから3日歩いたら西サハラ」なんて感じだったのがよく分かる。今となっては気候帯も地形も全然違うが、このころはお隣さんだったので、生きている生物も、育っている植物も、ほぼ一緒だったに違いない。
極めつけは、
「スリランカを出るとそこは南極」
ひゃ〜〜〜 ((((~~▽~~ ;)))ブルブルブル
熱帯に位置し、モンスーンと呼ばれる台風がガンガンやってくる土地と、寒帯どころではない寒極と呼ばれる場所で、ほとんど雨が降らない(降水量から分類すると砂漠らしい)土地が、その昔は隣り合わせていたというのだから、ビックリ以外のなにものでもない。
パンゲアのころは日本列島がなかったので「歩いて○○」に参加できないのが残念だが、もし陸地になっていたとしたら、「渋谷から歩いてハリウッド」に遊びにいけたはずだ。
そんな想像もできるのが「パンゲア」の楽しいところなのだ。
さて、戦国時代からペルム紀へと推しがどんどん時代をさかのぼっているシミズである。
このペースで時代をさかのぼっていくと、10年後にはカンブリア紀がマイブームになっている計算だ。何が面白いのか今のシミズには全く分からないが、サンヨウチュウってラブリー♪ なんて言っているのだろうか。コワイ…。 |