わたくしの一日(ハードボイルド編その1) |
鈴木 周 |
2004年12月 |
今日は11時半に暴力金融に乗込んで権利証を取り返すのがオレの主な仕事だった。
霞ヶ関で裁判を終え、いよいよ金を持って事務所に乗込む時がきた。
あと20分ギリギリだ。
オレは急いで地下鉄桜田門の階段を降りた。
おっとラッキー電車丁度いいぜ、東池袋まで15分、これは間に合うな。
オレはドアの閉まり際に飛び込み、大金の入った鞄を下に置き、「美男弁護士の歌」を口ずさんだ(これはウソ)。
何?「次は月島」だと?ヤバキチ、全然逆じゃんか。
しかも駅3つも気が付かないとは我ながら情けないゼ。
こうなっては仕方ない、月島でもんじゃ焼き食ってくか。
いや違う、すぐさま引き返さねば。
そしてオレは15分遅れで暴力金融事務所についた。
応対したのは、背の高い太った眉毛のない男だ。
オレは、ずいぶん迷惑をかけられたその男を静かな目で見つめた。
そして、その眼差しを細い目で受け止め、唐突に男は言った。
「先生、何か忙しそうですね。お疲れのようですよ。」。そして手続きはスムースに終わった。スマン、実話なので大したオチはない。
やっぱ、一日15時間労働を続けるとダメだ。昨日も、交渉相手の弁護士からの申入れを「相手方弁護士が、こ〜んなバカなこと言ってますよ、ウケケケ ヾ(´▽`;)ゝ」という趣旨のファックスを、こちらの依頼者じゃなくて、あろうことかその弁護士に送ってしまったよ。もちろん、オレはすぐ謝ったさ。でもやっぱり許しちゃくれなかったな。
アンタも働きすぎには気をつけなよ。 |