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コラム・弁護士

 
   

勉強をしましょう

穂積剛

2011年2月


弁護士 ・ 穂積 剛

ご多分に漏れず、私も子供のころは勉強なんかしたくなかった。

中学の頃から理系科目はまあ嫌いではなかったが、本当に好きだったのはコンピューターの方で、勉強が好きだったわけではない。

それが今では、とにかく毎日のようにありとあらゆることを、好むと好まざるとに関わらず勉強している。どうしてこうなってしまったのだろう。

小学校5年生頃のことだと思うが、今でも記憶しているのは「分数の割り算」である。分数の割り算は、分子と分母を引っ繰りかえして分数のかけ算にできる、っていうあれだ。どうしてそうなるのか、もちろん最初はわからなかった。学校の授業でも、おそらくその理由については教わらなかったように思う。けれどもそれを、自分で考えてわかったという記憶がある。

といってもそんな大した話じゃなくて、例えば「りんご1個を6分の1で割る」とすると、要するにりんごの1/6のピースを、一つのりんごからいくつ取れるかということだから「6」、なるほど分子と分母が逆になってるなあ、という程度の理解だったと思うが。けれども今振り返ってみると、確かにこのことが契機になって、小学校5年生頃から算数の成績がよくなっていったかなあ、と思う。そんな記憶があったので、高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』を見たときに、同じ問題で主人公が悩むシーンがあったことに驚いた。

そんなこともあり中学校のときは成績がよかったので、自分でもそれが面白いものだからけっこう勉強はした。

ところが高校に入学すると、みんな同じレベルで勉強ができるものだから、モチベーションを失ってあっという間に成績が下がった。確か1年生のときはクラスで20番代半ばくらいの成績だったのが、3年生のころには40番台半ば、後ろから数えた方が早いくらいになっていた。

それでも物理学だけは何故か成績がよく、昔から相対性理論とか不確定性原理とか量子力学とかに興味があったので、大学では物理学を勉強したいと思った。大学では入学当初は理科1類に所属し、3年の最初に進学する学科を決めることになっていたから、希望の物理学科に進学するためにこれまたけっこう勉強した。それで1〜2年のときは成績はいい方だったが、3年生になり物理学科に行くことになると、あまりに高度すぎて今度は付いていけなくなってしまった。

相対性理論とか量子力学なんかも、一般向けの解説書では「不思議な世界」としてロマンをかき立て興味を惹くように書いてくれてあるが、実際の相対性理論はテンソルだの何だのの無味乾燥な数式の世界との格闘であり、これまたあっという間に脱落してしまった。最後は、私が大学の授業に出るとクラスメートが驚くほどで、全く勉強しなくなった。よくあれで、落第しないで卒業できたと思う。

自分にはサラリーマンは務まらないと思ったが、何をすべきか目標もなかったので就職することにして、コンピューターが好きだったこともあってIBMに入った。IBMでの最初の1年間は研修で、1年の最後に成績優秀者は表彰されることになっており、その時にも実はかなり勉強した。理由は簡単で、IBMの小数労働組合(組織率1%)に加入することを決めていたので、「どうせ小数組合に加入するなら、成績優秀者となって加入してやろう」と考えたからである。

その後に、自分の進むべき道に確信をもって仕事を辞め司法試験を志したが、当たり前のことだがこのときにも相当勉強した。ここまでの経緯でわかるように、要するに動機付があれば勉強するのである。モチベーションを失えば勉強なんかしない。法律家になることについては、考え抜いた末に決断したことなのであまり悩みはなかった。だから集中して勉強することができた。

当時は難しいと言われていた司法試験に合格したのだから、もう勉強なんてあまりしないんだろうと思っていた。実際にも当時は2年間だった司法修習のとき、どうせ「2回試験」(司法研修所の卒業試験)は落ちないだろうと思っていたので、ろくすっぽ勉強しなかった。それよりは、人権課題の現場を自分で体感することが勉強なんだと思ったものだ。

こうして実務に就いてもう14年にもなろうとしている。そして嫌も応もなく、またも毎日のように勉強している。今度の理由もまた簡単で、「負けたくない」からだ。依頼者の権利擁護を請け負って法廷に出ている以上、勉強しておけば獲得できたはずのポイントを落とすのでは依頼者の利益を損なうし、何よりも自分が悔しい。だからまたまた勉強する。

しかもどんな事件が来るかわからないから、勉強の範囲も極めて多岐に亘る。裁判官なんかもそうだと思うが、事件として担当した特定の分野についてはやたら詳しくなり、偏向した雑学博士のようになってくる。勉強というよりも調査と言った方がいい場合も多いが。

というわけで、現在も勉強ばかり続けることになった。おそらく今後も勉強を続けるのだろう。どの分野の職業でも勉強する必要はあるのだろうけれど、これだけ雑多に多方面のことを関連性なく勉強するのはこの仕事の特質なのかも知れない。

いずれにしてもハッキリしているのは、要するに勉強なんて動機がなければしないし、逆に動機があれば勉強するということだ。その動機は、他人に押し付けられて生まれるものではなく、自分で見つけ出す以外にない。そのような動機をいかに見つけるか、当たり前だがそれが一番重要なことではないだろうか。

 

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