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コラム・弁護士

 
   

緊急事態宣言の夜に

清水 淳子

2020年6月

弁護士 ・ 清水 淳子

本当は夜でなく昼間だ。でも緊急事態宣言の「昼に」なんていうと間延びした印象がぬぐえないので「夜」にしてみた。

外出自粛期間中、裁判所が一斉キャンセルになったためなんとなーくスケジュールにも余裕ができて、「手作りマスク」ってやつを作った。流行に乗っかっとこう、というのでなく、やむにやまれず、だ。

「中国で新しい肺炎が流行しそうなんだって」とお正月にニュースで報じていたころは、まだみんな気にせず新春初売りに出かけ、駅弁に並び、レストランで外食していた。かれこれ30年くらいのベテラン花粉症のシミズは、秋の花粉にも弱いため真夏以外はほぼ1年中マスク生活だ。幸いドラッグストアでもスーパーでも、いつ行っても買えるので、「なくなったら買う」生活を何年も続けてきた。

ところが豪華客船が横浜港で上陸拒否されると、世の中の関心が一気に新型肺炎に向かい、いつでも買えたマスクがいきなり買えなくなった。来る日も来る日もドラッグストアやスーパーの薬品コーナーをのぞいてみるものの、「売り切れました」「入荷しません」と書いてあるだけで買うどころか横顔すら拝めない日々だ。病院ですらマスクが足りないなんて言っているくらいだから、とーぜん弁護士まで回ってこない(すっごく親切なお客さんが譲ってくださったりしたけれど、宝くじにあたったような例外中の例外の出来事)。そうこうしているうちに本当に在庫が尽きようとしていたので、仕方なく作ることにした、「手作りマスク」というやつだ。 「金輪際ミシンを使うことはない」と思ってミシンを捨てたのが8年前。最後にミシンを触ったのはたぶん30年近く前。この年になって裁縫する日が来るとは思わなかった。まあ、ズボンの裾上げとか靴下の穴かがりとかは、たまにやってたのだけれど、ちゃんと型紙から布を切って、縫い代とって縫って、というやつは勝手が違う。

久しぶりに走ると足がもつれる、幼稚園の運動会でお父さん転倒続出!と一緒で、久しぶりに裁縫すると、ほとんど思い通りに行かない。家庭科の時間に裁縫していたいたいけな中学生の自分はもうそこにはいない。 まずは言うまでもなく糸通し。近づければボヤけるし、遠くすれば針の穴が見えないし、どっちにしても糸なんか通りゃしない。同年代でお針子さんやってる人は本当に尊敬する。やっぱり目がいいのかな。メガネを外して目の前に持ってきてもやっぱりヨロヨロして通らないので、あきらめて糸通しのお世話になる。

それから裁断もあなどれない。ネットから拾った「型紙」を利用して何枚も切り出すのだから、全部同じサイズ、同じ形のはずなのに、いざ作ろうと表地と裏地をあわせると、 1センチ近くズレてたりする。ほんの10センチ×20センチ程度のものなのに…(涙)。無理やり端っこをあわせて縫うとヘンにヨレると思い、ズレた部分はズレたまま、縫ってからはみ出したところを切る作戦で行く。当然左右対称にはならない。すべてのマスクがビミョーに違う形だ。どれもこれも世界に一つだけのマスクだ。

そして糸通しに通してもらった針でチクチク縫う。最初は手縫いだったので当たり前のようにヨロヨロだ。「酒酔い」まではいかないけれど、結構な「酒気帯び」のよろけ具合。あまりの遅筆ならぬ遅針加減に、ミシンを使って縫うようになったものの、いずれにせよガタガタですわ。いかにも「手作り」。老眼に鞭打って縫ってるんだから仕方ないだろう!!!←逆ギレ。ホントは単なる30年ぶりの冷や水。

それから、マスクなんて布と針と糸があれば作れそうなものだが、意外にゴムが消耗品だ。いくつか作ったらあっという間に耳かけゴムがなくなってしまった。困って裁縫箱をあさったら、底の方から「パンツのゴム」を発見。たぶん昭和のゴム。裁縫箱の中で「新しい元号は『平成』」という小渕さんの声を聞いて、「時代は変わっていくんだなー」なんて感慨に浸ったかもしれない。裁縫箱の底でいつまでたっても来ない出番を待ちつづけ、「裁縫箱の中だと分からないけどなんとなーく外は暑そうだな」「そういやなんとなーく寒いな」を繰り返すうちに広い宇宙で自我に固執することの虚しさを学んだらしい。悟りを得たパンツのゴムは、「伸び縮みする」なんていう自我を捨て去り、もう伸びも縮みもしないただのヒモになっていた。

伸びも縮みもしないパンツのゴムだが、他に使えるヒモもなく、頭のサイズに合わせて結べば一応マスクを固定することはできるので、使うことにした。

そんなこんなで、手作り感あふれるマスクができ上った。

ちなみに「素材」にはこだわっている。抗菌・抗ウイルス効果のある生地を外側に、肌あたりがいいダブルガーゼを内側に配し、「布マスクには予防効果はない」という常識にほんの気持ちばかり抵抗している。

ヨレヨレだけど。

街角クッキングで、羅臼昆布を食べて育ったバフンウニとイタリア人もめったに食べられないなんちゃらの高級パスタを用意したにもかかわらず、スパゲティのウニ煮込みを作ってしまった女子大生みたいな感じかもしれない。

まあ、今どきマスクをつけてないで外を歩くとおまわりさんに通報されるので、「つけてりゃいいんでしょ」と思ってつけている。

しかし暑いし息苦しい。手作りマスクだから暑いわけではないけれど、どうにかならないものか。しかも慢性的に息苦しい。強制的に高地トレーニングを積んでいる感じ。コロナ禍が終わってマスクを外したら高橋恭子さんみたいなランナーになっているかも?なんて妄想して暑いマスクを我慢してつけていたら、友達から「よかったら使って」とキレイな着け心地の良いマスクが送られてきて、義姉からも「暑いだろうから」とこれまた涼しくて気持ちの良いマスクをもらった。本当にありがたい。3密だのソーシャルディスタンスだのと気持ちが荒みがちなところ、こうして人の厚意に与れると、ホッとするし、温かい気持ちになる。ちなみにどちらも縫い目はきれいでヨレたりツレたりしてないし、左右もきれいに対象になっている。もらった恩を脇において、ちょっと妬ましかったりもする。ともかく、自分でやってみると、どれだけスゴイことかがよく分かるわけだ。なにごとも経験だねぇ。

緊急事態宣言は解除されたけれど、完全には収束していないし、第2波、第3波が来るとも言われている。みんながんばって生き延びよう!そしていつか「あれはたいへんだったよねー」と笑い話にできますように。

 

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