みどり共同法律事務所 みどり共同法律事務所 みどり共同法律事務所
みどり共同法律事務所
トップページ
みどり共同法律事務所とは
事務所内の様子
交通アクセス:地図
業務分野
弁護士・事務局紹介
弁護士・鈴木 周
弁護士・穂積 剛
弁護士・後藤 富士子
弁護士・清水 淳子
事務局
依頼方法・費用
コラム・弁護士
よくある質問
文字を大きくするには?
  みどり共同法律事務所
 
〒160-0023
東京都新宿区西新宿7-3-1
三光パークビル3F
営業時間: 9:30〜18:00
TEL: 03-5925-2831
FAX: 03-5330-8886
E-Mail: info@midori-lo.com
   

コラム・弁護士

 
   

「法の理想」を指針として
-- 「共同監護」を創造するために

後藤 富士子

2020年8月

弁護士 ・ 後藤 富士子

1. 「単独親権」から「共同親権」への法の進化

民法818条は「父母の共同親権」を定めている。家父長的「家」制度をとっていた戦前の民法が「家に在る父」(一次的)または「家に在る母」(二次的)の単独親権制を定めていたのと比較すると、革命的転換であった。その根拠になったのは、「個人の尊厳と両性の本質的平等」を謳った日本国憲法24条である。「個人の尊厳」という点から親権に服する子は未成年者に限定され、親権は未成熟子の監護教育を目的とする子のための制度であることが明らかにされた。また、「両性の本質的平等」という点で「父母の共同親権」とされている。すなわち、戦後の日本の出発点は、家父長的「家」制度を廃止し、「単独親権」から「父母の共同親権」へ進化したのである。換言すれば、「父母の共同親権」は、まさに「法の理想」であったのだ。

一方、民法には同時に、「父母の共同親権」の例外も定められていた。その1つが民法818条3項但書で、「父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が、これを行う」という定め。あと1つが、民法819条であり、離婚により父母のどちらかの単独親権とされ、また、父が認知した非嫡出子について父が親権者となる道が開かれているものの、父母のどちらかの単独親権である。

それでは、いかなる理由により、「法の理想」とされた「父母の共同親権」につき、このような例外規定が設けられたのであろうか?

まず、民法818条3項但書の「父母の一方が親権を行うことができないとき」というのは、親権を行使するのについて法律上または事実上の障害がある場合である。法律上の障害としては、@後見開始等の審判を受けたとき、A親権・管理権の喪失または停止の宣告を受けたとき、B親権・管理権の辞任をしたとき等があり、事実上の障害としては、C行方不明、D受刑中、E心神喪失または心身の著しい障害があるとき等とされている。Bのように親権者本人が辞任する場合ですら「やむを得ない事由」が要件であるうえ家裁の許可が必要である(民法837条)。すなわち、当該親権者について、他方の親権者とは無関係に、親権の行使において絶対的な「障害」がある場合と考えられる。

これに対し、離婚や父が認知した非嫡出の場合、前記のような絶対的な「障害」はないから、なぜ単独親権にしなければならないのか、説得力に欠ける。おそらく、同居していない父母が親権を共同行使しなければならないとすると、便宜上「子の福祉」を害すると考えられたのであろうが、戦前の「家に在る父または母」という規定の名残かもしれない。そして、単独親権者を父母のどちらにするかについて父母の協議が成立すれば問題はないが、協議が成立しない場合には、裁判所に争いが持ち込まれることになる。しかし、その法的争いは、出発点からして、「父母の共同親権」という法の理想と矛盾している。この点でこそ、単独親権制の是非が問われなければならないのである。

2. 離婚前の共同親権の下で「共同監護」を実現しよう

2009年、オバマ大統領により米連邦最高裁判事に任命されたソニア・ソトマイヨール(初のヒスパニック系)は、2018年10月に邦訳刊行された著書『私が愛する世界』の中で、「法律の実務には理想主義の居場所があるのであり、それがこの職業に就く動機となっている。」と述べている。

私は、いたく共感するが、日本の現実は別世界である。日本の司法には「理想主義の居場所」などないし、法律家になる動機も、それとは無縁のようである。しかし、それでは、司法を利用せざるを得ない国民が不幸というほかない。

現に、父母の一方が子どもを連れ去って離婚請求する事件が家裁を席巻している。離婚は夫婦間の法的問題であるのにかかわらず、離婚後は父母のいずれかの単独親権とされているために、子を連れ去り別居した配偶者は、離婚成立前の段階で「単独親権者」のように振る舞い、他方配偶者の親権を侵害して憚らない。そのこと自体、現行法に反しているのであり、「父母の共同親権」という法の理想を踏みにじるものである。したがって、親権を侵害された他方配偶者が被る理不尽な不幸を放置してよいはずがない。

離婚は、調停前置主義であっても、合意が成立しなければ、訴訟で最高裁まで争う道が保障されている。そして、離婚が確定するまでは「共同親権者」の法的地位を保持できる。したがって、離婚が確定するまでの間、いたずらに「親権・監護権の争い」をするのではなく、「共同親権者」として、離れて暮らす子どもとの親子関係構築に全力を傾注すべきである。それによってのみ、離婚後の「共同養育」も可能になろう。理想主義の居場所がない日本の司法の下にあっても、私たちは、「父母の共同親権」という法の理想を追求したい。それが、単独親権制を廃止する確かな進路と思われる。

 

一つ前のコラム・弁護士へ コラム・弁護士 トップページへ 一つ次のコラム・弁護士へ
 
Designedbykobou-shibaken.com
プライバシーポリシー