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清水 淳子

2022年9月

弁護士 ・ 清水 淳子

きれいな字、迫力のある字を見ると、「きれいだなー」「かっこいいなー」と思う。
大河ドラマのタイトルなど見ると、カッコいーなー、こんな字書けたら楽しいだろうなー、とうらやましい気持ちになる。筆で書いたと思っていたら左官さんが掘った(「掘った」でいいのか?)題字もあった。あれもカッコよかった。今年(2022年)の大河ドラマは明朝っぽいフォントのタイトルなので、スタイリッシュだとは思うけれど、もの足りない。
あ、ちなみにえらそうなことを言っているが、シミズの字は達筆の真逆だ。学校のお習字以外書道を習ったことがなく、筆を持ったが最後、ヨレヨレ ヨタヨタの文字しか書けない。いい年の大人としてはかなり情けない字だ。時代劇なんかでサラサラと手紙をしたためるシーンや大工の見習いが親方の言う寸法を木片にメモする姿などを見ると、うらやましくなって、自分もあんなふうにかけるようになりたいと思う。が、畳敷きの習字教室でワチャワチャと小学生に交じり、一生懸命「春の海」とか書いた挙句、真っ赤になるほど朱墨をくらっている間に足がしびれて立てなくなるという展開がまざまざと目に浮かぶため、いまだに習字の先生の門をまたげないでいる。

それでも書道家さんがたっぷり墨を含ませて一気に筆を運ばせる様はなんとも魅力的だ。

けっこう知られていることだが、「にんげんだもの」の相田みつをさんも、実はものすごくきれいな字を書ける人だ。若いころには書道での受賞歴多数と聞くから、本当に上手な書道家だったのだろう。若いころの受賞作を見たが、とても「にんげんだもの」の人とは思えないきれいな字でビックリする。本気出すとすごいんだなー(いや、「にんげんだもの」もものすごく本気で書かれたのだけれど)。

ただ、書道も極めつけになると急に煙に巻かれたようになる。
筆を選ばなかったというのが本当かウソか分からない弘法大師こと空海の書いた風信帖は、「傑作」「これを臨書すべし」と言われているが、悲しいかな、シミズには良さがさっぱり分からない。

空海の書いた風信帖

「なんか、曲がってね?」
くらいしか思わないバチあたりなヤツである。

だいじなことはよこしまな人間の目には見えないんだよ
―――byどこかのほしの王子様
そんな声がどこかから聞こえる。

音楽でも絵でもそうだ。世間で「傑作」「名作」と言われていても、さっぱり分からないもののなんと多いことか。
シャガールの良さは未だに分からないし、
微笑むモナ・リザを怖いと思わず直視できる日も想像できない。
ムンクの叫びを見ても「ムンクさん!!!」(byフィヨルドの恋人)以外の気持ちはわいてこない。
でも、「傑作」「名作」と言われるものは、できればどう良いのかを理解しておきたいとは思う。

とっかかりとして、名筆と言われ、かつシミズも「きれいな字だなー」と思えるものをずっと眺めていたら、いつか空海のとんでもなく素晴らしいところも分かるようになるかもしれない。
そんな、やっぱり純粋とは言えない動機で、とりあえず書の神様と言われている王羲之(おう ぎし)さんの書(と言われているもの)を眺めることにした。

王羲之――――――――――聞き覚えのある名前だ。

王羲之

思い出すのは高校生になったばかりの春、社会科や理科で何の授業を受けるか選択しなければならなかった。大学受験に直結するので、慎重に選ばなければならない。
そんな大事な場面にも関わらず、高校受験から解放されたばかりで浮かれていたシミズには、「楽なほう♪」と、「日本史」と「世界史」の二択から「世界史」を選択した。なぜならば、
漢字ばかりの名前を覚えるのが嫌だから
日本史に出てくる名前は漢字だらけだ。ひらがな表記の名前は、記憶の限りない。ザビエルなんてカタカナの名前も確かに出てくるが、外国人以外は100%漢字の名前だ。徳川さんとか織田さん、伊達さんみたいに、「その名字の有名人は数名」なら良いが、平安時代の藤原さんなんて、「その名字の政治家は50人を下らない」となると、覚える気にもならない。しかも「頼」とか「良」とか「忠」とか「平」を順列組み合わせしたような名前が並ぶと、本当にお手上げだ。そんな苦行はごめんだ、と思って世界史にした。

まず、カタカナの名前だけと思っていたのを、ダークホース中国史にあっさり覆されたものの、「ま、仕方ねーな」「中国だけだから」と目をつぶっていた。
前漢・秦・後漢、ヒトの名前も始皇帝くらいまでは、楽勝とは言わないものの、受忍限度内だった。
ところが、三国志の時代を経て晋の時代に入ったところでこの人が現れたのだ。

王羲之――――――――――――世界史の教科書なので、「書の大家」ではなく、著名な政治家という文脈で出てきたのだろうが、なんか字がおかしい。
王義之じゃなくて?
なんか、画数めちゃくちゃ多くない?
虫眼鏡で見ないとどんな字なのか分からない「羲」の字がシミズを震撼させた。「義」じゃなくて「羲」ですよ。絶対書けないのでノート1ページ使って「王羲之」練習しましたよ。まるで小学生の漢字練習。世界史の勉強をしていたのに。
その後も当用漢字にない字を使う人物が続々登場し、中国史の勉強の1割は漢字練習だったんじゃないかくらいに「初めて見た」「この先絶対使わない」漢字の練習をした。
「漢字の名前を覚えるのが嫌だから」という理由でカンタンに世界史を選択したシミズを深く反省させるきっかけになった人物がこの王羲之だったわけだ。
今回再びこの名前に遭遇したことを思うと「この先絶対使わない」ワケではなかったと言える。二重に反省だ。

そんな苦い思い出のある書聖・王羲之さんの、「とりあえずこれ見とけ」と名高い蘭亭序を眺めてみることにした。
これ(左下)

蘭亭序

まとめた人の先祖の名前が「序」だったから蘭亭「叙」の字にしたそうだ。儒教っぽいー。
さて、実際の文字はこんな感じ(右上)

美しい字だというのは分かるのだけれど、令和4年のシミズにはお習字の手本や町の書道の先生のお手本との違いが分からない。分かるようになれる自信はゼロだが、いつか分かるようになるかもしれないと期待しよう。

ところで、蘭亭序を入手したのはおなじみ南米大陸の大森林地帯○○ゾンなのだけれど、蘭亭序をポチしたら、こんな画面が現れた。

なんか、ツイッターとかインスタグラムみたいだな―、と思いつつ、ちょっと面白いのでフォローしてみた。
するとこんなご案内をいただいた。

なんと、「新作発売の通知」がくるようになるそうだ。1700年前の人がどうやって新作を出すのかさっぱり見当がつかないが、王羲之の新刊が出たら速攻知らせてもらえるんだ、とウキウキしてきた。

調子に乗ったシミズは別の有名人をフォローしようと、聖徳太子著「十七条の憲法」を買うことにした。紙の本はなくてパソコンで見るしかないが、99円!オトナ買いだー (* ̄ ̄ ̄ ̄― ̄ ̄ ̄ ̄)

そしてワクワクしながら「フォローしますか?」を待ったが、スルスルとKindleが立ち上がって「さあ読め!」画面になってしまった。

グスン(ノ_・、) 聖徳太子フォローしたかったのに……………。聖徳太子の新刊のお知らせがくるとワクワクしてたのに…………。
「フォローしたい♪」などというよこしまな精神は、十七条憲法に沿わないと聖徳太子にも見抜かれていたようだ。

まあこんな具合なので、蘭亭序の美しい字でシミズの書道眼が養われるのは当分先になりそうだ。

 

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