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コラム・弁護士

 
   

“赤ちゃんポスト”
―「少子対策」の裏側

後藤 富士子

2006年4月

弁護士 ・ 後藤 富士子

熊本市は、4月5日、慈恵病院から出されていた「赤ちゃんポスト」の設置申請を許可した。慈恵病院では「こうのとりのゆりかご」と呼んでいる。

安倍首相は「お父さん、お母さんが匿名で赤ちゃんを置き去りにするのは私は許されないのではないかと思う。政府として、認めるということはありません」と記者団に述べたという。

欧州には中世以来、修道院などに捨て子を置く「ポスト」があった。乳児の命を救う目的だったが、医療技術の発達につれ、出産時の母子の状況がわからないと適切な処置ができないという理由で、20世紀初頭までに廃止された。

その代わりに広がったのが、身元を明らかにせずに病院で子どもを産み、養子に出せる「匿名出産」制度!(安倍首相など真っ青でしょう) 戦時中、「敵」に強姦されて妊娠した母親を守る目的もあったというが、中絶合法化前の1960年代フランスで、匿名出産は年間約1万件!。中絶合法化などで「望まれない子ども」が減少した今でもフランスで年間500件、イタリアで05年に400件。近年再び「赤ちゃんポスト」が復活したのは、不法滞在がばれるのを恐れて病院との接触を拒む移民が増えたからという。
慈恵病院のモデルになったドイツには「匿名出産制度」はなく、2000年にキリスト教系の団体が「赤ちゃんポスト」を始め、現在は約80箇所に増えている。

「匿名出産」先進国フランスでは、90年代から「 出自知る権利」を求める子どもたちの運動が広がり、02年には母親は出産時に自発的に氏名などを残せるようになった。また、子どもの約半数が非婚のカップルから生まれるなど、家族形成の「起点」が結婚から出産に移ったことを背景に、「匿名出産」廃止論も登場。婚外子への偏見は薄れ、法的権利の区別もないし、06年には「嫡出子」「非嫡出子」といった言葉も民法から姿を消したのである。それでも、あえて匿名で産むことを選択する女性の状況はいっそう切実であり、「匿名出産」制度は最低限の安全網の意味をもつ。 

日本の戸籍法では、非嫡出子出生届について、まず「 父なし子」として届出ることが義務付けられ、「父」は届出人として認められていない。つまり、「父は匿名」が義務付けられ、認知によって初めて父が顕名される。認知されなければ、ず〜っと「匿名」である。それでも、安倍首相は、これを非難しない。それどころか、「離婚後300日以内に生まれた子」の嫡出推定を覆すには「離婚後に妊娠したことの医師の証明」を義務付けるなど、法的離婚成立前の妊娠を反倫理的と非難するのが法務大臣見解である。
こんな国で「少子化」が止まるわけがない。

 

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