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みどり共同法律事務所
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〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-3-1 三光パークビル3F
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コラム・弁護士 |
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「親子の絆」を破壊させない! 民法改正私案 |
後藤 富士子 |
2010年3月 |
千葉景子法相が、離婚後の共同親権制へ民法改正することに初めて言及した。しかし、離婚前は共同親権であるのに、妻による幼い子どもの「連れ去り」は、なぜか司法が援護している。この現実を見ると、共同親権にするだけでは、「連れ去り」による「親子の絆」を破壊する蛮行は抑止できないと思われる。
そこで、「親子の絆」を破壊させない! との思いから、民法改正私案を呈示したい。
現行民法818条(親権者)
- 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
- 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
- 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
改正民法818条(親権者)
- 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
- 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
- 親権は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
- 親権は、親の固有の権利であり、第834条(親権の喪失の宣告)及び第835条(管理権の喪失の宣告)の規定によらなければ喪失又は制限されない。
民法819条(離婚又は認知の場合の親権者)
- 全部削除
【コメント】
- 現行法は、父母が婚姻中のみ共同親権とし、非婚・離婚の場合には単独親権として、単独親権の規定は819条にまとめられている。したがって、非婚・婚姻中・離婚という父母の法律関係にかかわりなく共同親権にするには、上記私案で足りる。
- 離婚後の監護に関する事項を定める766条3項では、同条1項2項で家裁が決定権をもつ監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じないと規定されている。改正によって離婚後も共同親権になれば、現行実務で横行している離婚前の「単独監護者指定」「子の引渡し」の処分ができなくなる。すなわち「子の福祉」という相対的な事由により片親の監護権を全的に奪うことはできないのである。
なお、認知した子の監護に関して788条で766条が準用されている。
- 820条(親権の効力としての監護及び教育の権利義務)により地方裁判所・高等裁判所で人身保護法による幼児の引渡請求が機械的に認容される実務が横行している。しかし、改正私案818条4項により、親権喪失事由のない親が人身保護法で子どもを司法拉致されることは抑制できる。
- 共同親権の例外は、818条3項ただし書、834条(親権の喪失の宣告)、835条(管理権の喪失の宣告)、837条(親権又は管理権の辞任)で規定されている。
したがって、改正私案818条4項と一体となって、「子の福祉」という事情では親権を剥奪されないことが法的に確立する。
- 単独親権者が再婚して子どもと配偶者が養子縁組する場合、そもそも親権者でない実親には養子縁組を阻止する権利が認められていないし、養親が親権者になるため、実親は「親であること」を法的に完全に否定されている。
私案によれば、このような人倫に背くことは法的に許されなくなる。
- こうしてみてくると、単に単独親権制が「悪の根源」だったというよりも、それを根拠にして「子の福祉」などと、親権喪失事由のない親の親権を剥奪した家裁裁判官こそ「悪の元凶」だったことが分かる。
- 「親子の引離し」や「親子の絆の破壊」は、子どもの権利条約で明確に否定されている。「家庭的環境の中で養育される権利」が子どもに保障され、同時に「親の意に反して子どもと引離されない」という親の権利も保障されている。
しかるに、弁護士会の「子どもの権利委員会」は、こうした条約の理念を全く理解せず、むしろ「家庭破壊」を促進してきたといわざるを得ない。人身保護法の手続で、被拘束者である子どもの国選代理人が弁護士会から推薦されるが、子どもの意思を尊重するどころか、「国親思想」そのもので、「親子の引離し」「親子の絆の破壊」の先兵となっている。 ドイツでは、子どもの権利条約を批准して、離婚後の単独親権制が改正された。それゆえ、単独親権制を維持している日本は、子どもの権利条約を批准していないと誤解する向きもあるという。日本が条約を批准したのは1994年(平成6年)のことであり、当時、既に、共同親権への改正を論じていたことを思い出す。 「引離し」「親子の絆の破壊」により苦しめられた夥しい善良な親子の犠牲を悼み、速やかに民法改正が行われるよう望んでやまない。
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