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コラム・弁護士

 
   

弁護士のパソコン

清水 淳子

2015年1月

弁護士 ・ 清水 淳子

究極の内輪ネタ、今日は弁護士のパソコンのあるあるだ。「パソコン」というよりパソコンの辞書機能と言うべきか。 業界の人ごとに使う言葉が違って、パソコンが学習する辞書もずいぶん違うと思う。今日は弁護士のパソコンの変換癖を披露しよう。

ヘンカン

辞書機能を話題にするならまずは「ヘンカン」の話しだ。

「ヘンカン」と打てば漢字変換の「変換」が出てくるのが普通だが、弁護士が「ヘンカン」と入力すると、十中八九は「返還」だ。

売買契約を解除して、損害賠償と一緒に納品した製品の「返還」を求めたり、共同事業のため開示した秘密情報の「返還」を求めたりする。たまにパソコンの気まぐれで「変換」が出てきたりするのをうっかり見過ごすとヘンなことになる。

「納品済みの製品●●−△△△100個を返還ください。」

仕方ね―なー、返してやるよっ。

「納品済みの製品●●−△△△100個を変換ください。」

………………何に!?

とても親切な相手方なら「『返還』の間違いだな」と解釈して返還してくれるだろう。フツーの相手方なら「何に変換するのですか?」と問合せがくる。意地悪、あるいはオニのようにマジメな相手だと、●●−△△△100個でトランスフォーマー●●−△△△を作ってしまうかもしれない。意地悪な相手の場合、どんなに急いでいても変換ミスのないように注意しなければ、だ。

テイキ

「テイキ」と入力して、通勤通学の「定期」が出てくることはなく、たいてい訴え「提起」が出てくる。

「定期を落とした。」

これは困るー。出てくればひと安心だけれど、出てこなかった日には再発行してもらわなければならないし、再発行されるまでいちいち切符を買わなければならなくてとても面倒だ。

「提起(期限)を落とした。」

困るどころの騒ぎじゃない。正直ムチャクチャヤバイ。五臓六腑が口から飛び出して、体中の毛穴という毛穴から冷たい汗が滝のように流れそうだ。

訴訟提起しなければならない時効を過ぎてしまった、控訴できる控訴期限を過ぎてしまったという、ものすごいマズイ状況だ。字にしただけでめまいがしてくる。まさに悪魔の呪文とはこのこと。呪いたい弁護士がいたら世間話のふりをして「提起を落としちゃって、ホントたいへんでした」とかメールして見ると良いかもしれない。気の弱い弁護士なら気を失って倒れちゃうかも。

カイシュウ

「カイシュウ」と聞いたら日本人の8割が「おぉ!麟太郎〜〜〜!(←勝海舟の幼名)」と喜ぶのだろうが、辞書変換としては「改修」がトップに来るだろう。でも弁護士の場合、貸金業や小売業の経理と同じくらい「回収」の方がなじみがある。

「建物の改修を考えている。」

と言えば、ちょっと古くなった建物のリフォームかな、と思うが、

「建物の回収を考えている。」

となると、借家人から貸家を返してもらう、あるいは建物を使っている不法占拠者を排除して建物を取り戻す、というモノモノしい話しになる。ついでに言うと日本の法律では基本的に借家人が大事にされている。つまり大家は苦労することが多い。泣けてきそうな逸話には事欠かないけど、ここで書けないのが残念。

セイサン

OL時代は交通費の「精算」くらいしか「セイサン」に縁がなかったのだけれど、最近では「精算」よりも「清算」が身近だ。

「あなたとの関係を清算したいの。」

と言われると、泣いてすがってもよりを戻せる可能性は低そうな、もう将来はない感じだが、

「あなたとの関係を精算したいの。」

と言われれば、「あ、こないだのご飯代?」くらいのライトな感じでやり過ごすことができる。

弁護士にとって「清算」は、債務整理や破産などの重たい場面以外にも、和解のときの「清算条項」(その和解条件でその事件は全部解決ですよ、と確認するためにつける条項)などもあり、意外になじみのある言葉だ。「区切り」という意味ではどれも同じで、依頼者の取引や過去に「けりをつけ」て、新しいスタートを切るお手伝いをしているんだ、と重みと同時にすがすがしさも感じられる言葉だ。

ちなみにたまに「生産」と入力したいときなど結構まだるっこしい。

■カジ

そもそも「火事」とワープロで打つ場面はめったにないと思うけれど、弁護士のパソコンで「カジ」と入力して最初に出てくるのは「家事」だ。

ちょぴっと説明すると「家事」とは家族関係の事件を指す。私たちが扱う事件は大きく3分類、「金返せ」「商品渡せ」などの「民事」、泥棒や傷害の犯罪を審理する「刑事」、そして離婚や相続など家族関係の事件を取り扱う「家事」だ。

「火事でたいへんな目に遭った。」

命があってよかった。本当に良かった。良かったしか出てこない。

「家事でたいへんな目に遭った。」

なに相続事件?兄弟だけじゃなくてお嫁さんまで出てきて大荒れ?それはお疲れさまだったねー、と一気にライトなリアクションになる。

家族関係のもめごとを収める家事事件は、どうしても「積年の恨みつらみ」がトグロを巻いてあふれだしたりすることが多い。すると、担当する弁護士もトグロに巻き込まれて窒息しそうになったり、たいへんなことが多いのだ。日常的にそう言う「たいへん」を経験していると、「家事」以外のたいへんな事態を忘れてしまう。もしも「火事」だったら失礼なことこの上ない。くれぐれもどっちのカジか間違えないようにしなければならない。

■シンケン

マジで、一生懸命、の意味で「真剣」にと入力しようとすると、「新件」(新しく依頼のあった事件、あるいは新しく受任する事件のこと)、あるいは「親権」(離婚事件で未成年の子供がいる場合、子供の法定代理権を父母どちらかに決めること)が出てくる。

「真剣に取り組んでいる。」

仕事だもの。がんばれ。

「新件に取り組んでいる。」

お、何の事件?がんばってね。

「親権に取り組んでいる。」

それは大変だわ。がんばってね。

いずれの場合も深く共感する割に、こうして字にするとリアクションはほとんど違わない。すごくフラットに見えてしまうが、どの弁護士だって「新件」も「親権」も「真剣」に取り組んでいる。真剣味が足りないということは決してないので皆さんご安心を。

 

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